待機児童と保育園について

働くママが増えたから待機児童が増えた、という論理について。
普通、こうじゃない?
「ママが働く→子どもを預けている→待機児童減る」
なのに、増えたって。
で、考えると、そもそも待機児童は「認可保育園入園申し込み者」のこと。
なので待機児童が大勢いるなかでママが働いていくには、
「認可以外の保育園・施設・サービスに子どもを預ける」
これ以外にない。
でも保育料が高いので、
「認可保育園に申し込む→待機児童増える」
というのが、この論理の正体ってことだと理解しています。
加えて、25歳〜44歳の女性の人口数は、減少傾向にあって、
呼応するように新生児の出生数も減少傾向。
人口が減っているのに労働人口が横ばいということは、
就業率は上がっているので
「働くママが増えて待機児童が増えた」論は一見、正しいようにも見えます。

だけどちょっと待って欲しいのは
「子ども・子育て支援新制度」によって認定こども園などの設置が実施され、
認可保育園の定員数は増加しているんですよね。

厚労省は2015年にこう発表しています。
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【保育所等関連状況とりまとめのポイント】
○保育所等定員(保育所及び幼保連携認定こども園(2号・3号認定)の定員)は247万人
・前年比13万9千人の増加(平成26年は前年比4万7千人の増加)
・幼稚園型認定こども園等と地域型保育事業(2号・3号認定)も含めた定員数は253万人
○保育所等を利用する児童の数は233万人で、前年比63,845人の増加
・幼稚園型認定こども園等と地域型保育事業(2号・3号認定)も含めた利用児童数は237万人
○待機児童数は23,167人で5年ぶりに増加(前年比1,796人の増加)
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定員数が増えているということは、
就業率が上がっても、実際の新生児数は減っているので、
待機児童が増えるはずがない、という計算になりませんか?
だけど実際は…。
これに対して、共同通信の記事では
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◎定員は前年から大幅に増えたが、希望者の伸びが上回った。
◎4月から始まった国の「子ども・子育て支援新制度」や雇用情勢の改善で、子どもを預けて働こうという保護者の需要を掘り起こしたとみられる。
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とあるようです(引用元:http://www.huffingtonpost.jp/kazuo-ishikawa/policy-for-children-_b_8214958.html)。

たしかに申し込み者数は
5万2763人(2013-2014年度)から13万1410人(2014-2015年度)と大幅増。
とはいえ上にあるように、定員も13万9千人分増えているわけで。
新制度によって保育園需要を掘り返したのは事実と思われますが、
希望者の伸びが上回ったとは思われません。
もちろん都市部とそれ以外の局所的な違いはあるでしょうが。

で、私見ですが。
保育園に預けるというのは、数を見ているだけでは語れないものがあって。
家の近くであるとか、治安であるとか、交通事情であるとか。
そういった諸々の「子育て環境」というものがあるわけです。
いくら定員数を増やしても、0歳〜3歳の子を通わせるのに
家から何十分も離れているとか、ろくに駐車場もないような場所にあるとか、
そういうところじゃ、通わせられない。
特に「働くママ」が圧倒的に多いのは都市部ですから。
都市部で働くということは、ほとんどが電車通勤。
となると、自宅から駅の近くで認可保育園があればよし。
なければ、自転車で行ったり来たりになりますから、
条件が良いとはいえず、入るのを諦めるということに。

もっと言うと、希望する園に入れる保証はなく。
「この園なら空いています。入らなければ他の園に入れるかどうかはわからない」
という状況を通達されて、
上のような「環境」と天秤にかける羽目になるのがほとんどです。
そんな状況に追い込まれたら、
働くのを諦めるか、
条件の良い認可以外のサービスを利用するか、
無理をしてても認可保育園に預けるか。
そんな選択を迫られます。
つまり、待機児童増加の要因というのは、
実際のニーズと供給がマッチしていないことだと思うんですよね。
あ、ちなみに、会社に託児所を作っても無意味です。
満員電車に乳幼児を抱えて乗ることを考えたら、わかります。
したがって、定員数は増加しているのに待機児童が増えている謎の正体は、
「就業意欲増加→条件の良い認可以外の保育サービスを利用→条件の良い認可保育園に申し込み→待機児童増加」
ということだと思うんですよ。
むろん、この選択をしなかった人は、
働くのを諦めたか、
無理をしてでも通わせているか、
幸運にも条件の良い認可保育園に入れたか、
そのどれかに当てはまります。

そういう「裏」を見ていくと、
本当の待機児童数というのはもっと多いはずで。
たとえば、
認可外に通っている児童を
「認可保育園入園待ち」としていないことも明らかになりました。
潜在待機児童というのだけれど。
http://news.mynavi.jp/news/2016/03/19/201/
働くことを諦めて自宅で保育している人々も加えたら、もっと多いでしょう。
認可保育園は大前提として「保育に欠ける子を預かる施設」なので、
そこまで計算する必要はないかもしれないけれど、
本当にママ世代を働かせてうれしい悲鳴を上げたいなら、
その辺も見直さないとダメでしょうね。