12/14及び12/15のLA雑感。

12/14

 

長旅の疲れを癒やすべく、午前中はゆっくりして、昼頃から始動。

同行しているVIPOの新井さんとともに、某映画会社へ飛び込み営業。EDO OF THE DEADのプロットやビジュアル、DVDを渡すことができた。

その後ホテルに戻りがてら、機材屋などを見て回る。

夕方からLA EigaFest2012のオープニングイベントに参加。

レッドカーペットということで正装のドレスコードがあったので、 日本からフォーマルスーツを持参し、エジプシャンシアターへ向か うが寒い。
割と順番を待たされているうちに雨も降ってきたりして、かなり凍 えながら歩いたので顔も引きつり、さっさと終わった感じ。
 

劇場に入り、席に着くとオープニング上映は「るろうに剣心」。
大友監督と「左之助」役の青木さんが来ていた。
 

映画上映中はさすがアメリカでたえず盛り上がっていたのが印象的 だった。
内容も悪くなかった。アニメのストーリーをまとめたようなイメー ジだったのかなと思った。
すこし台詞が長すぎるように思ったが、マンガ原作となるとどうし てもそうなりがちな部分はあるので仕方ないようにも感じた。

 

アフターパーティでは北村昭博さんや石坂拓郎撮影監督などなどご あいさつ。
石坂さんにはやっと会えたっていう印象かな。
おふたりとも「EDO OF THE DEAD」が気になる様子でさすが鼻が利くなと思った。
ぶっちゃけアメリカに来てからゾンビ時代劇への反応はとても良いので、自信は付いた。
問題はここから。

日本で資金集めをするとなると、常識的に言って製作委員会方式になることが多いが、海外へ権利を売ることを考えていくとその選択はあり得ない。

よく海外の人が言うのは、日本のコンテンツは優れているものが多い反面、権利処理が煩雑でビジネスとして面倒ということ。
また不況のあおりを食って、委員会の一部の会社が倒産などしようものなら、処理をすることが不可能になってしまう。

さらに最初から海外展開などを見据えて、キャストなどの肖像権を押さえていれば良いが、そのような契約を交わしていないことが多く、さらに面倒な手続きを経なければならない。

製作委員会方式は、リスク分散という意味ではもちろんメリットもあるが、リスクを分散してハイリターンが見込めていた過去とは違い、現在は分散したリスク分のリターンも見込めない、単なる寄り合いとしての機能しか果たしていないのが現実である。

またリスク分散=効果的な宣伝という意味合いが強くなり、大手広告会社やテレビ局、大手配給会社の絡んでいない委員会以外の映画は成立しにくくなっているのを見ると、オリジナル企画である「EDO OF THE DEAD」には適していない。

とはいえ、製作委員会以外で多額の資金を集めるのもまた至難の業であるから、俗に言うイノベーションが必要になるだろう。

 

 

12/15

 

前日のアフターパーティが朝2時頃まで続いたので、昼頃起きる。

13時過ぎにLOWES HOTELに移動し、ビジネスパネルミーティングへ参加。

ANEW(ALL NIPPON ENTERTAINMENT WORKS)のCEOや「呪怨ハリウッド版」プロデューサーのロイ・リーなどなど、ハリウッドを拠点とする知的財産関係者のディスカッションであった。

正直言って、難しすぎて英語がわからなかったが、テーマは「日本の知的財産をハリウッドで活かすためにはどうしたらよいか」という内容なのはわかっていたので、雰囲気だけは掴んだ感じ。

 

新井さんの要約によると、日本のマンガやアニメを北米でリメイクするための権利処理の窓口であったりとか、その具体的な手続きに関して、アメリカ側から見た意見交換がなされていたらしい。
例えばマンガ原作で映画にするとき、多くの場合、出版社が窓口となって作家のエージェント的な役割を担う。原作権は原作者にあるが、契約は出版社が行うというのが慣例──といったことが紹介されていた。
本来であれば小説なりマンガの原作権を有している原作者が、映像の原著作者である脚本家(監督)と直にやり取りをするのがスムーズだが、実際には創り手の代理としてプロデューサーが立ち、原作者の代理として出版社の編集部が立つことがほとんどだ。

注意しなければならないのは、出版社と作家の関係と、プロデューサーと創り手の関係がかならずしもスムーズとは言えない場合があることだ。

NHKと講談社の問題も記憶に新しいところだが、この問題で浮き彫りになったように、映像制作に関する分厚い契約書を用意すればすべて解決かというと、そういうわけでもないと思う。

監督の意見や主張、脚本家の考えは、現実的にはプロデューサーを通して、出版社に伝わる。

現場の創り手はそれが出版社から原作者に正確に伝わることを期待しているし、伝わっていると信じている。しかし現実はそうならないことの方が多い。
「やわらかい生活」裁判の件もそうだが、原作者に気を遣う出版社、都合の良い部分だけ利用したいプロデューサー、その二者にゆだねるしかない現場といった「竦んだ状態」に陥った場合に、実務上は契約書がすべて解決してくれる「はず」だが、契約書が結ばれないまま仕事が進んでいく理由に着目しなければ問題は見えてこない。

アメリカ側から見れば、そのような状態のまま仕事が進むことなど想像もできないだろう。
だが、実際にそれが日本社会だ。
ここには「情」がある。
信頼関係や人間関係によって、物事が進む。
ある日突然、アメリカから「あなたの原作をハリウッドで映像化したい」と連絡が来たら、ほとんどの場合、詐欺じゃないかと思う。実際、連絡は来たが、それ以降なしのつぶて、という噂話はいくらでも聞く。また「ドラゴンボール」のような例もあるから、簡単ではない。

ひとくせもふたくせもある原作者を相手に、合理主義のアメリカ人がそうそう交渉できるとは思えないが、ANEWという会社はその仲介として期待されている新しい会社なので、今後の活動に注目しなければならない。

一つ言えることは、金ですべて解決すると思っているようなら、日本の知的財産の多くは、海を渡ることはないということだ。

 

しかし……ANEWのような会社を立ち上げてまで、日本コンテンツを海外に売り出そうと考えている経産省の思惑を裏読みすると、それだけハリウッドに、いい企画がないということだろう。